第1回 開催報告書
科学へジャンプ・イン・富山2011 報告書
平成23年6月19日(日) 9:30〜15:30 富山県立大学
第1回は「科学へジャンプ・イン・富山」として開催。北陸地区で初めて視覚障害のある児童・生徒を対象とした科学イベントを実施した。
開催概要
- 日程
- 平成23年6月19日(日) 9:30〜15:30
- 会場
- 富山県立大学(富山県射水市黒河5180)
- 対象
- 視覚障害のある小学校5年生以上の小中高生で科学に興味を持ち、当日のイベントに参加可能な北陸地区の児童・生徒
- 主催
- 科学へジャンプ・イン・富山実行委員会
- 共催
- 財団法人九州先端科学技術研究所、富山県立大学
- 後援
- 全国盲学校長会
参加人数
- 参加児童・生徒
- 15名 (小学生4名、中学生5名、高校生6名)
- 保護者・付添人
- 14名
- スタッフ
- 49名
- 見学者
- 13名
目的
- 触れて学ぶ科学の体験・実習プログラムを通して、視覚障害者の科学理解増進を図る。
- 実行委員を形成することで、地域で核となる人とのネットワークを構築する。
プログラム
- 9:30〜10:00 受付
- 10:00〜10:20 開会の集い
- 10:30〜12:00 ワークショップⅠ
-
- 敷き詰めて大きさを感じよう
- 「音」のいろいろな性質を学ぼう
- 自分で実験し、耳で手で、化学変化を実感しよう! ― 気体を発生させて性質を調べよう
- 触って観察「形からわかる魚の生活」
- 保護者向け企画Ⅰ:ワークショップ見学
- 12:00〜13:30 昼休み 体験・展示
-
- Skype体験、DAISY体験など
- 13:30〜15:00 ワークショップⅡ
-
- 自分で実験し、耳で鼻で手で、化学変化を実感しよう! ― 電池ってどんなもの?自分で電池を作ってみよう
- 百聞は一触に如かず「ブタの目の観察」
- 移動ロボットで学ぶプログラミング
- 電子レンジで実験しよう
- 保護者向け企画Ⅱ:意見交換会
- 15:10〜15:30 閉会式
ワークショップ内容(全8種類)
敷き詰めて大きさを感じよう
講師:内田智也
1辺3cmの立方体を1000個用意。2・3・5・10個が入る細長い箱に立方体を詰めていく。10個の箱を10本並べると100個になることを体感し、次に100個の箱を10段重ねると1000個になると予測する。実際に125個の立方体の箱を8箱埋めて積み重ね、1000個の大きさを体感する。
「音」のいろいろな性質を学ぼう
講師:戸田一郎
低周波発振機やモノコード、音叉などを使い、音の基本的な事項を学習し、その後、聴診器、共鳴箱のないオルゴールを使って、音と人間の身体について学習することが目標。
自分で実験し、耳で手で、化学変化を実感しよう! ― 気体を発生させて性質を調べよう
講師:浜田志津子
ひとりずつ実験操作を自分で行い、化学変化を実感する。酸・塩基の強弱や水素や二酸化炭素の発生とその性質について、自分自身の実験を通し、体全体で観察して理解する。
触って観察「形からわかる魚の生活」
講師:武井洋子
魚の基本体型を観察した後、色々な魚を観察し、比較する。魚の体形を触って観察し、その形態から、生きているときの動きなどを考察する。
自分で実験し、耳で鼻で手で、化学変化を実感しよう! ― 電池ってどんなもの?自分で電池を作ってみよう
講師:浜田志津子
マンガン電池の作成を通して、乾電池の仕組みを学び、ボルタ電池、ダニエル電池の作成を通して、電池の仕組みを理解する。
百聞は一触に如かず「ブタの目の観察」
講師:武井洋子
模型を使って目の構造を知る。その後、豚の目を解剖し、実物を観察する。目の構造について、観察を通して理解を深めることが目標。
移動ロボットで学ぶプログラミング
講師:松本三千人
小型移動ロボット「ピモット」を使ってプログラミングの概念やロボットの制御を習得する。パソコンやキーボードのスキルは一切必要とせず、ロボットプログラミングを行う。目標は、盲導犬ロボットとして動かすこと。
電子レンジで実験しよう
講師:大橋和美
電子レンジの中に水の入ったコップ、空のコップ、氷、風船、ポップコーンなど様々なものを入れて結果を予測、共有、結果を知り言葉でまとめるという作業を行う。身近な電子レンジを使って科学への関心を促し、知りたいという気持ちを向上させる。
体験・展示
昼休みに、視覚障害者ITサポートとやまのスタッフによるSkype体験、Daisy体験、音楽体験と、立体地球儀の展示を行った。
保護者向け企画
午前は班ごとに分かれて、ワークショップ見学を実施。午後からは視覚障害の先輩学生を交えた意見交換会を実施した。子供の進路などが大きなテーマとなった。
感想
生徒の感想
次はロボットについてのワークショップをやりたい
次はお花を触りたい
浜田先生の化学実験の授業楽しかったです
鳥山先生の授業もうけたかったです。
保護者の感想
非常に楽しく子どもにも科学への興味を持つ良い刺激になりました。ありがとうございました。
意見交換会はとてもいい機会でした。本人にやる気があり、希望があれば不可能ではなく努力すれば成功もあると! それは障害あるないに関わらず誰もが同じだと思いました。自分から狭い環境から脱する勇気(情報)も必要だと!! 未来は明るい!! 今からどんな数年後になるか楽しみ。そのため、将来の夢を描く必要性あり。いろいろな体験、人と出会ってほしい。
子どもたちがとても楽しんでいました。普段なかなかできない実験をやることができて良かったと思います。ありがとうございました。
スタッフの感想
あの子どもたちの笑顔、県を超えた交流の姿を見ていると本当にすばらしい企画だったと思います。私自身理科や数学の専門性の凄さを感じました。
富山でもう一度行えたらいいと思います。先生方がとても温かいです。
次回もこのような雰囲気で行えることを希望している。
JSTの支援が終わっても、ぜひ継続していきたい。次回も実施することを念頭に入れて、来年度に向けて実行委員会等、具体的に動いていけるといいなと思います。
講座の内容も対応も素晴らしく、感動した。小さな子どもにも分かりやすい言葉遣いや指示内容で、良かった。障害のある方へは、補助をしてあげたり、聴覚優位の方のために声を全体に向けたりと、講師の先生の対応が大変勉強になった。
生徒達が、実験を通して理解が進むごとに晴れやかな笑顔を見せることに、私も心が洗われる思いをしました。貴重な体験をさせていただいたことに感謝しています。ありがとうございました。
成果
- 北陸地区で初めて視覚障害のある児童・生徒を対象とした科学イベントを開催することができた。
- アンケート結果:「科学への興味が高まった」の回答者:23人中20人
- 参加生徒にとっては普段、交流の少ない他校の生徒と知りあう場となり、保護者にとっては同様の境遇にある保護者同士と知り合う場となった。
- 地元の学校関係者以外のスタッフにも多く関わってもらい、支援者同士のつながりを作ることができた。
- 参加者、スタッフの人数バランスも良く、会場校の協力もあって、運営面、ワークショップともに質の高いイベントにできた。